椋鳥(むくどり)

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家内の楽しみの一つにプランター園芸がある。サヤエンドウが、真冬の寒さにも可愛らしい芽を吹いてプランターを彩る。その若芽を食い荒らす椋鳥対策でプランターに網をかけた。なんと、その網に椋鳥が捕らえられた。ネットで調べてみたら、若い雌のようだ。連日寒く厳しい。一年で一番食糧難の季節。野鳥にとって飢えることは即、死を意味する。食べられる物ならどんな危険を冒しても食する。人の気配のない早朝での餌取りで災難、おそらく2時間以上もがき苦しんだのだろう。近づいても死んだように動かない。何とか助けてやろうと網を外そうとしたが、絡みがひどく外せない。鋏を使い、鳥の羽を切らないように慎重に網を切り離した。彼女の身体は温かく小さく震えていた。少しでも糸が残っていないか入念に調べて放鳥することにした。別れの時、頭を撫でながら言って聞かせた。 「もう二度と失敗するなよ、猫やカラスの天敵に見つかったら即、喰われちゃうぞ。もし、もう一度網にかかったら、焼き鳥にして晩酌のオカズにするぞ」 放された椋鳥は、ジェット戦闘機のような速さで急上昇して、前の家の屋根を飛び越え姿を消した。あとに、小さな別れの寂しさと、一つの命を救った心の安らぎが残った。

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